2016.06.17
中部・北陸3日間建築ツアー2日目 その1
建築ツアー2日目。
長良川河畔のホテルをバスで出て、
伊東豊雄氏設計の各務原(かがみがはら)の葬祭場へ向かう。
6年前にスタッフだった平野くんとともに一度見に来たことがありました。
今回はつつじが咲き、池には蓮の花も咲いており大変良いシチュエーションでした。
この建物は伊東さんが設計された建物のなかでもかなりディテールが洗練された
美しく幻想的なものになっていると思います。
外周部の開口はすべてFIXとなっておりシェル状のコンクリート庇に
すっきり納められていますが、排煙の問題はどのように処理されているのか
我々の間で話題となりました。
ボクが考えるところシェル状の屋根と内部の箱との間に機械排煙機が上向きに
納められ箱の中のダクトを通し、
裏側へ排煙するようになっているのではないでしょうか-----–。
それにしても前にも感じたことですが
中に入るとなぜか息苦しく感じるのはボクだけなんでしょうか?
妻とも話したのですが、槙さんの風の丘葬祭場では全く臭わなかった
独特な臭いをここでは感じるのですが------。
つづく-----—。
2016.06.15
公私混同
舛添都知事の事務所経費不正使用疑惑が取り上げられ
マスメディアによる連日の追及によって都議会からも不信任案の提出と
自民、公明各派による可決が成立する状況となり
急転直下、辞職することになりました。
政治家というのは、
むかしはもっと大きな器を持った人が多かったように思ってしまいますが、
日常の生活品購入費や家族の飲食費用まで
公的なお金で流用しているのが本当であれば、
げんなりしてしまいます。
公的なお金である政党助成金に対し税金は取られないのでしょうか。
政党助成金も政治家の収入とみるならば
我々と同じように確定申告を行うことになり
公私混同による税金逃れは違法として扱われます。
自営業の僕たちにとって自分で一生懸命得た収入に対し、
極力経費で落とせればと考慮します。
以前、税務署の監査が当アトリエに入った際 、
スケジュールが書いてあるカレンダーのコピー(5年分)
を求められ提出したところ
土曜日に義理の兄と中華料理を食べたときの領収書とカレンダー上の
「義理の兄、会食」という記述を照合され、経費ではないと注意を受けました。
そんなことも税務署では細かくチェックして
税金逃れがないかどうかやっているわけで
我々も事務所経費とそうではないものの領収証はきちんと分けて整理しています。
税金逃れは犯罪行為に当たるのに対し
我々の税金から出ている政党助成金の使い道に対し違法性がないなんて
おかしいなあと思ってしまいます。
舛添氏のニュースにおいて事務所が1階で2階が住まいとなっている
自宅がテレビで映りましたが
東京大学卒業後や研究員としてパリ大学を出られ、美術愛好家でもありながら
相変わらず最近の日本の政治家の住まいというのは
清貧という言葉に縛られ、または履き違えてみすぼらしい住まいが
庶民的でいいのだと思っているような印象を受けます。
それは大きな間違いで、決してお金をかければいいというものでもなく
清貧でいいのでインテリジェンスを感じさせるものであって欲しいと思います。
前首相の管さんや鳩山さんも建物に対する趣味が悪く
今後我が国のトップに立つような人には、建物に対するインテリジェンスを
持ってほしいと思います。
そういう意味において、我々現代の建築家は予算が厳しく清貧でも
インテリジェンスのある建物を作っているつもりなんですが-----—。
2016.06.06
中部・北陸3日間建築ツアー1日目 その3
2階は約90m×80m、7200㎡の巨大な図書スペースとなっており
屋根は、厚さ20ミリ×120mmのヒノキ材を使用して
力学的に方向性がなくて強いと言われる1辺が60cm程度の正三角形を形成し
シェル状に重ねたものが覆っています。
この巨大なシェル状の屋根を支える柱は、
屋根が木材でポーラス状になって重量が軽い為か非常に細く、
2階の人工地盤であるコンクリートスラブの限られた範囲内であれば
柱位置が自由に設定できるようになっています。
柱はあくまで屋根の垂直荷重だけを支え、
水平的な動きについては外周部に設置されている鋼板が負担しているそうです。
また屋根の雨水の排水はこの柱の中にステンレスの樋が入って処理されています。
構造を説明するだけでも話が長くなりますが、
この図書館の最大のポイントととして
自然エネルギーの活用というコンセプトを実感することができます。
この広いスペースに11か所のグローブという
自然換気システムが設けられています。
グローブはシェル状の屋根の盛り上がった頂点にエアダンパーにより上下動する
可動トップライトとその周囲を固定されたトップライトになっている場所で
形状が気流の解析モデルにより決定された独特なかさ状のもので
細いカーボンワイヤーのフレームに
テキスタイルデザイナーの安東陽子さんによってデザイン、
製作された布が蔽われています。
この場所性を明確化させるために布のデザインはすべて変えてあり
それが場所を示すサインにもなっています。
グローブの下の領域はテーマ別に分けられた本のコーナーとなっており
それ以外に1階の図書の事務スペースとエレベーターと階段によって繋がれた
レファレンスコーナーや手続きを経ない本の持ち出しを感知するゲートが
設けられたエントランスグローブなどによって構成されています。

(槙文彦氏とよく仕事をされている藤江和子氏デザインによる
ビニール状の籐でできた長椅子が置かれているゆったりグローブ)
開架書庫は11か所のグローブが「図」とすれば「地」にあたる部分に
水の波紋のようにレイアウトされています。
屋根兼天井材が可燃性の木材のため、特別に実証試験を行い、
書架をコンクリートのプレキャストで製作し
本からの延焼が及ばないことで許可を得ているとのこと。
こんなに気持ち良くリラックスできる図書館は初めてで
井水を使用した床冷房システムによる気持よさ、
ひのきを使用した天井材による木の香りの気持ちよさ
音を立ててもポーラス状の天井材による吸音でうるさくない気持ちよさ
木というナチュラル感とグローブの布を使用したやわらかさによる気持よさ
空間の広がりとグローブから射し込む自然光の気持よさ等々が挙げられます。
ユニバーサルスペースというのは空間の均質性のことを言い、
ミースファンデルローエによるオフィススペースを中心とした
ユニバーサルスペースはその退屈な均質性に対し
これまで批判を浴びてきましたが
伊東さんの様々な試みの中の一つとして、
仙台メディアテークや多摩美図書館など
新たなユニバーサルスペースを意図的に提案されているように感じます。
その後、長良川沿いの温泉ホテルへ向かい、
夕暮れの黄金の光を受けて輝く
稲葉山山頂に立つ岐阜城を見上げながら
屋上にある露店風呂にゆっくりと浸かった後
浴衣姿で夜更けまで宴会となりました-----–。
つづく-----–
2016.06.03
中部・北陸3日間建築ツアー1日目 その2
如庵がある有楽宛は犬山城の足元に位置し
お城は国宝として指定された全国で5つの城の中のひとつで
木曽川沿いの小高い丘の上に立つ美しい景色を眺めながら
本日のメインイベント、岐阜のメディアコスモスに向かいました。
伊東豊雄建築設計事務所によるこの建物には、
平安さんからの連絡を受けた伊東さんの配慮で、事務所の設計担当者の方が
この集まりのためにわざわざ東京から来て頂くとともに
テキスタイルデザイナーの安東陽子さんも合流され
お二人から現場での苦労も含め、詳細にわたる説明を受け感動ました。
外観は,ハーフミラーなどのガラスが多用されながら
木部材によるオーソドックスなグリッド割りによる外壁との対比により
モダンとトラッドがミックスしたような感じで
ちょっぴりポストモダン時代のような印象を受けました。
また、構造的な構成を矩形に切り取り切断面を見せるやり方は
台湾の台中オペラハウスでも感じたものでした。
外部に突き出た建物はスターバックスが入っているスペースで
最初は唐突に感じましたが、2階図書スペースに取り入れられた
グローブシステムの形状の引用となっており
中にに入って意味がわかるようになっています。
1階は多目的スペースが分散配置される中、
中央部にガラスで囲われた2層の閉架書庫があるため
中心性があるとともに全体がわかりやすい構成になっています。
この2層分のスぺ-スはヨーロッパの公共施設のような広々とした感じで
ゆったりと気持ちよく、また、たくさんの市民がそれぞれ別々の目的で
活動されているのを見渡すこともでき、
数多くの日本における公共施設での多目的というのは
何でもありという形ながらあまり使われていないイメージがありましたが
ここは、その多目的性が十分に生かされてれているという印象を受けました。
1階部分の構造は無梁版構造になっており
グリッド状に配置されたコンクリートの円柱によって支えられています。
事務スペースはカウンターで領域化されたオープンスペースで親近感を
受けるとともに気づいたのは、上に吊るされている照明の色温度で
執務スペースもその他のスペースもすべて3000ケルビンで統一されて
いるということです。これは照明デザイナーの面出薫氏による提案だそうで
さすがです!
1階には200名規模が収容可能なホールもありそこの音響設計は
永田瑞穂音響設計ということでこれも超一流!
つづく------
2016.06.01
中部・北陸3日間建築ツアー1日目 その1
4月に平安さんが主宰する博多デザインクラブの勉強会に
テキスタイルデザイナーの安東陽子さんを招き、
その後の懇親会において安東さんが伊東豊雄さんと組まれ
仕事をされた岐阜のメディアコスモスを観に行こうと盛り上がりました。
企画を立てるのが好きな平安さんが早速、幹事に松山将勝くんと
リズムデザインの井手くんを指名、5月の27.28,29日と3日間の
中部・北陸建築ツアーに夫婦で申し込み行って来ました。
これって全く台湾ツアーと同じようなノリで
平安氏の前でうかつに言ってしまうと幹事の指名を受け
ツアーを企画しなければならなくなるのでみなさん気を付けましょう!
参加者は無重力計画の井本氏、柳瀬真澄建築工房の柳瀬氏、我々夫婦、
田中俊彰設計室の田中氏、八女の室岡建設の室岡氏、松山君が建築九州賞の
表彰式と重なりキャンセルとなり平安さん、井手君を入れ計8名のツアーでした。
1日目は朝の6時半に博多駅の筑紫口に集合。
新幹線で名古屋へ。
今回の企画は順路を含め、柳瀬氏に監修して頂きました。
まずは、織田有楽斎の茶室で国宝「如庵」へ
お恥ずかしい話になりますが、この年で今まで観たのは千利休の「待庵」のみで
もう一つの小堀遠州による茶室で国宝「密庵」をまだ見ていません。
織田有楽斎は信長の弟の一人で武人であり茶人として
信長、秀吉、家康という3代に渡る時代を数奇な運命により生き抜いた方です。
その想いは苦渋に満ちていたであろうと思います。
隠居所として使用していた旧正伝院書院は重要文化財で
この時期の建物として珍しいのは、入口正面が庭になっています。
如庵は建物の離れとしてあります。
正面奥は刀などを預かるところでその右側に躙り口があります。
残念ながら内部は撮影禁止となっており
中をお見せできないのですが広さは2畳半台目となっています。
この写真でいうと正面の壁に取られた連小窓のところに2畳、
この正面奥が床の間になっています。
次に右側下地窓のところが半畳になっておりその奥が亭主座になっています。
庇の上部には突き上げ窓としてのトップライトがあり
早朝の暗い中で始めるお茶会での演出として
朝の光を入れるための仕掛けだと言われています。
室内には5つの窓があり障子に移る竹や格子の影と周辺の樹々の緑によって
淡く染まった障子により時間の移ろいによって変わっていくであろう
光の微妙な変化を演出しています。
この2畳半の小さな空間に有楽宛の解説の方とともに9名が入ると
濃密な空気が時間とともに流れていくことがよくわかります。
この小さな茶室で戦国時代の武将たちが趣味人としての教養を積むとともに
ひそやかな策謀や戦略が語られた過去へ
タイムススリップした気持ちになりました。
------つづく






























