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土曜日のレイトショーで、クリントイーストウッドが監督した「ヒアアフター」を
家族3人で観に行きました。

ヒアアフター、そのまま直訳して「ここのあと」という意味になりますが
死後の世界かもしれない臨死体験を扱った映画です。
そのように書くとSFかホラーかと思われるかもしれませんが
臨死体験という予期しないきっかけを通しての
人生における生と死のドラマを
ロサンゼルスとロンドン、パリに住む3人の人生を通して描いていきます。

状況の変化に巻き込まれていく人生と状況の変化を受け入れたくない人生
全く違うそれぞれの人生が淡々と丁寧に描かれながらも
物語として散漫にはなっておらず、演出による監督の力量を感じさせます。

全編を通しイーストウッドによる音楽が静かに流れ、
ところどころに風にそよぐ葉擦れの音が印象深く聞こえてきます。
それは死に対する精神的な深いダメージを受けたものに対する
癒しのようなものに感じました。
また、料理教室での相手の女性と交互に目隠しをして
スプーンで互いの口に運び
味を確認ながらさりげなく互いに対する興味を会話するシーンなどは
食を通しての食べるという行為がいかに官能的であるかとういうことを
気付かせてくれるとともに生というものを象徴的に浮かび上がらせていると思いました。

ぼくは、随分むかしに見たフランス映画ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の
「パリの空の下、セーヌは流れる」の様々に絡み合った人生模様を描いた作品を
思い出しました。
具体的なあらすじはもう完全に忘れてしまいましたが
あの頃の古いフランス映画のように様々な人生模様を描いた作品は大好きです。
「舞踏会の手帖」、「天井桟敷の人々」などなど
ハリウッド映画の娯楽大作を見慣れている人には、
この映画も含め退屈に感じるかもしれませんが、
映画を通し人生の意味を感じさせてくれるものもいいと思います。

ヒアアフターはボクがこれまで観たクリントイーストウッドの作品の中で
一番好きかもしれません。

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