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先週、久留米O CLINICの引き渡しが終わり日曜日に竣工写真の撮影に立ち会いました。

建物の設計依頼を受けたのが2020年の3月で設計契約が同年9月

着工が2021年の10月、上棟が2022年の3月、同年12月に1期工事としての

建物が完成しましたが

玄関廻り及び外構の2期工事を既存部分の解体を終え着工し

今月無事、工事が完了しました。(施工は半田建設さんです)

結果的に設計を含め3年かかったことになります。

設計および現場監理という仕事はマラソンに近いと思います。

最終的な竣工に向けて毎日、毎日数多くの小さなパーツを検討、確認、決定し

積み上げていきます。

 

(昨年3月上棟時写真)

 

右手前が待合ホール及び上部吹き抜けで右側に既存クリニックが見えています。

2期工事で既存クリニックを解体し建物側には中庭、その外側には駐車スペースを

造りました。

構造設計は黒岩構造事ㇺ所で柱は肉厚の200角コラムを使用しています。

クリニックの平面計画においては鉄骨造とすることで柱位置の自由度が増し

将来的なフレキシブルな対応もしやすくなります。

 

 

 

 

外壁は防火地域の為、耐火構造が必要でALC版を使用し2丁掛けタイルを貼っていますが

ALC版は地震時の揺れに対応できるようにロッキング工法が要求されており

タイルはALC版の巾600mmごとにシールが必要になります。

そこでこの建物ではシール巾と目地幅を合わせ、目地色に近いシール色を選ぶことにより

600mmピッチごとに入っているシールが目立たないようにしています。

 

 

外構の駐車場スペースの緑化については施主の意向を汲み取り何度も変更を行い

満足のいくものとなりました。

そこにはクリニックとして患者の方々に対する施主ご夫妻の細やかな配慮が投影されており

ただ緑化率を上げるだけではなくハイヒールでも躓かない対応や降りられた時の

駐車スペースの間隔への配慮等が込められています。

また、緩勾配のスロープについても両サイドに手摺を設置するなど徹底されています。

設計者はその意向を踏まえながらもあまり目立たない手摺のデザイン等を行っています。

出入口ゲートと建物の一体化はこのクリニックにおいて外観デザインの大きなポイントで

大通り沿いに直行する建物でどうしても妻側部分だけでは小さく見えてしまう為

駐車場側ゲート庇と一体化することにより通りから大きく見える(または目立つ)

工夫を行っています。

当初、現場が始まった段階でこの庇をくぐる車が当たるのではという

問題点が施主より提起され、現況の乗用車、バン、宅配トラック等の車高を

確認し設計より15cm上げることで了解を頂きました。

 

空調器、ガスメーター、制御盤等については今後のメンテナンスが行いやすいように

すべて1階のコンクリート打ち放し塀の裏側に設定し

待合ホールからも見える中庭に干渉しないように配置しています。

 

 

このクリニックにおいては風除室が大きめに取られており開院の1時間前から来られる

患者さんの方々の為に椅子が置かれています。

 

 

ここのスペースは意図していないながら居心地が良く気に入っています。

 

待合ホールの受付は座られている患者さんと直接目が合わないような位置となっています。

コロナ禍を受け、既存クリニックと同じスタイルでガラススクリーンで仕切っています。

 

 

吹き抜け上部の通路はスタッフ専用となっています。

肝心な待合ホール全体の写真は撮影のフォローが忙しく

うっかり撮り忘れてしまいました。

7月頃、ホームページに竣工写真を掲載予定ですので興味のある方はご確認ください。

 

このクリニックにおいては、ご夫妻の細やかな気配りが患者さんたちに行き届くような

ご配慮からだと思いますが住宅が併設されています。

したがってこの建物ではかなり密度の高い設計、デザインが検討されています。

 

 

住宅への階段ホール、2階デッキに設置された庭木が風で揺らぎ、

その影が吹き抜けを通し投影されています。

 

 

2階住宅は奥行きのあるデッキに面しておりリビング側には隠し框の木製引込み戸を設置、

フルオープンできるようにしています。

また、キッチンに付帯する冷蔵庫は右手ウォールナット仕上げの壁で囲まれたパントリーに

設置しLDからは見えないようにしています。

空間の拡がりを感じて頂くためにLDに隣接する部屋まで天井を繋げたり、

趣味室と寝室廊下側開口部に3枚引きガラススクリーンを設け

フルオープンにすることで一体となるような工夫も行っています。

 

住宅付きクリニックの場合、

診療部分と住宅部分の形態的分離感や生活感が出やすいと思いますが

この建物ではむしろそれを前向きに捉え、広いデッキスペースと軽快なルーバー庇との

組み合わせやゲートとの一体感、建物低層部へのスクラッチ炻器質タイルの使用等で

建物に堅苦しさを与えていないのではと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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