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連日、37℃を越える猛暑が続いていますが
今日は、人吉の施主ご夫婦にキッチンハウスとトーヨーキッチンのショールームに
来て頂き、キッチンイメージの確認として立ち会いました。
アトリエに戻ったのが午後4時15分ごろ。
外出中、元スタッフの平野くんより電話があったらしく
atelier cubeの清原くんがきょう行っている「大橋のいえ」がすごく良かったとの事で
急遽、スタッフを連れ終了時間の5時ぎりぎりに駆けつけました。

これまで清原君が悩みながら試行錯誤してきたなか
僕は前回の甘木の家は見ていませんが、
より純化されたものになっているように感じました。

4間×8間という1820ミリモジュールによる構造フレームは
骨格としてのルールと外皮としての明快な表現となっており、
3mの高さの壁によって仕切られた個室空間は、
構造的束縛から解放されたブース的捉え方として
間仕切られています。
原理そのものはモダニズム建築の理念のひとつである
ユニバーサルスペース的捉え方ではありますが、
在来木造の住宅において行われた場合
とても新鮮に感じました。
それは、一般的に均質な空間の結果としての退屈なユニバーサルとは違い
周囲に対し注意深く取られた開口部の大きさや高さの違いによる光の陰影
部屋の間仕切りと同じボリュームで取り込まれた外部スペースによる
空間的拡がりと内外空間の反転した関係、
奥行を感じさせる間仕切りなどにより
変化に富んだスペースになっているからだろうと思います。

また、一般的な住宅の室内高さを越える
4mという天井高さを確保した空間は
高さが空間に豊かさをもたらせるのだということを感じさせます。

壁に使用されている厚さ4ミリのフレキシブルボードは
接着剤とフイニッシュの併用により
開口部の枠なし納まりも含め
非常に精度の高い施工がされることで
フレキのままの仕上がりが貧相に見えず、
建築的でミニマムなものとしてこのスペースに静かな抑制をもたらせています。

32坪の矩形の平面にポーチと物干場の二つの外部スペースが取り込まれ
実質の内部空間は28坪の平屋建ての建物ですが
ポーチは近隣との関係を取り結ぶための外に開かれたスペースで
施主の幼い頃の周囲との関係に対し、配慮されたものになっています。
最近の若い世代の建築家の場合、我々50代以降の未来志向だった世代と違い
周辺の街並みに対する配慮が強く、独りよがりのデザインを排する姿勢を感じます。
(むかしと違い、形態を主張する時代ではないということです)
普通の家形の箱のようでありながら、
軒先のディテールやたて樋の位置など注意深く配慮し
普通のようで普通でないものを目指している人が多く
そこにこの世代の共通の価値観を感じます。

そのあたりの世代間における価値観の違いのようなものについて
もっと知りたいと思うのですが----------。

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