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今からちょうど2年前、
香椎の海が間近に見える土地を購入された方の
住宅のご相談に何度か乗っていました。
当時、打ち合わせのなかで
大手ハウスメーカーにされるかどうか迷ってあるとともに
設計事務所に依頼されるとどう違うのかということに対し
十分に理解されておられないように感じられたため
あまり強引なアピールをせず
その後、連絡がないまま時間が過ぎていました。
こちらの方から意志確認の電話連絡をしても良かったのですが
たぶんハウスメーカーに依頼されたのだろうと思っていました。

その方が突然、今日、アトリエに来られました。
その後、どうされたのかお聞きしたところ
昨年の4月にハウスメーカーで建てられた家に入居され、
1年半になるということでした。

ということはリフォームのご相談かと思ったところ
建てられた家がどうしても気に入らないということでした。
あの時にボクに強く背中を押されていたら頼まれていたということでした------。
そういう後悔もあり、今回、土地と住宅を含め売りに出され
同じ地域の高台で海が見える土地を購入し、改めて建てたいということでした。

たまたま、時間が空いていたためその土地を見に行くことにしました。
また、近くにある1年半前に建てられたご自宅も拝見させていただきました。

ご自宅の外観は、海に対し2階テラスが突き出た寄棟の白い瀟洒な住宅で
海側の前面道路に対し、石貼りされた1枚の壁により玄関を隔てた作り。
外回りの足元デザインも含め、よくできていると思いました。
建物の海側正面左より奥の敷地へ入る隣接道に面した建物サイドの立面は
開口部の取り方が全く調整されておらず、我々にとっては気になるところでしたが。

玄関扉のデザインも立派なもので今流行の指紋認証式の開閉機構がついたもの。
扉を開けるとかなり広い玄関ホールになっており、
和室に入る飛び石の周りに敷かれた白玉石が正面まで回り込むデザイン。
シューズボックスの扉も含め、仕上げの仕様も立派なものです。
4.5畳の和室も床の間を含め、デザインされていましたが2階中心の生活のため
全く使用されていないということでした。
当初は床の間に花などを置く和室を望まれてのことだったようです。
1階は、玄関、和室、趣味のドラム室、車庫という構成
2階にリビング、ダイニング、キッチン、サニタリー、寝室が取られています。
海側に面し建物全面にテラスが設置され、
そこを介してリビング、洗面、浴室が並び、
海を眺めることができるようになっています。
建物の大きさは全体で44坪あり、ご夫婦二人だけとしては十分な広さがあります。

では、一体何が問題かと言えば、
この家の最大のコンセプトである海が見える生活の楽しさが
残念ながら伝わってこないというところだろうと思います。
それは誰もがということではなく
海に対する思いの強い方にはフィットしないかもしれないということです。

ハウスメーカーの住宅は、クオリティーの高さを感じますが
それは、何かクオリティーの高いパーツを組み合わせているような感覚でもあり
我々がこだわっている空間の構成とは違う感じがしました。

さて、新たに購入予定の土地から海がどのように見えるかで
まだ迷われていることもあり、
今のところ最終的にどうなるのかわかりませんが
二度も相談に来ていただき、
設計者冥利に尽きることでもあり
今回は、是非、取り組ませて頂きたいと思っています。

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