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NHKの教育テレビにおいて日曜日に放送され話題になっていた
ハーバード大学でのマイケル・サンデル教授による講義「白熱教室」が
東京大学の学生を相手に安田講堂で行なわれ、「白熱教室」IN JAPANとして
先週の日曜日に教育テレビで放送され、非常に興味深く拝見しました。

前半の講義「イチローの年収は高いか?」と後半の講義「戦争責任を議論する」の
二つのテーマで行なわれ、ボクは前半授業の最後の方から見ました。

サンデル教授は正義に関する三つの概念を上げます。

1、正義は、幸福の最大化を意味する。

2、正義は、人間の自立と尊厳の尊重を意味する。

3、正義は、市民の美徳を育み、良き生に基き判断する。

これに基き、問題提起を行ないます。
日本人の平均年収が450万円、オバマ大統領の年収が3500万円、
そしてイチローの年収が15億円。
果たして、イチローの年収は、オバマ大統領より42倍も払う価値があるのだろうか?
あると思う人意見を、またそう思わない人意見をと求めます。

オバマは全世界に対する仕事と責任を担っており、イチローはスポーツという分野に
限られているのでオバマにもっと払うべきという意見もあれば、オバマは国民に選ばれた
責任と義務において税金を使って問題を処理しているのであり、
人が見たいと思って見るイチローとは違い、大勢の人々が見たいと思った結果
としてのイチローの報酬は妥当であるという意見もありました。

また、そうやって得た報酬に対し、国家は税率を高くして強制的に徴収し
分配すべきか、それとも個人の寄付に委ねるべきだろうか?
これに対し、東大生による様々なディベートが交わされ
次第に問題の本質に収斂されていきます。

後半は、「戦争責任を議論する」というテーマで道徳的責任、道徳的義務に関する
議論が行なわれ、戦争責任は個人的なものとして負うべきか、または集合的な
ものとして負うべきか、また、道徳的責任はあるのか、道徳的責任は
世代を超えるのか?

以上の議論を行なうために、家族に対する忠誠心の問題として
簡単な投げかけが行なわれます。

あなたは、東京大学の高名な教授であり、弟はヤクザで殺人事件を起こしてしまいます。
あなたは、弟をすぐに警察に突き出しますか?

とっかかりは極めて平易であり、それが次第に政治や経済、道徳の問題へとつながり
最後には、極めて哲学的な思考を求められるという展開で
哲学というものが人間存在について考えるだけでなくもっと
現実的な問題において有効な思考であることを気付かせてくれるのが
非常に面白いと思いました。

さて、この番組が明日の日曜日、教育テレビにおいて6時より前編が再放送されます。
興味がある方は、是非、御覧になって下さい。
また、前編を明日見逃された方は、来週の日曜日に後編が放送されます。

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