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2009.05.02

各務ヶ原斎場

岐阜県、各務ヶ原市にある伊東豊雄設計の斎場へは
岐阜市より高山行きの列車に乗り換え、30分ほどの那加駅
というところで降りました。
中心部から外れた場所なのか、ひなびた町でした。

実際に建物を見に行くことは、建築雑誌では伝わらない周囲のシチュエーションが
わかり、建物とは別の意味での面白さを体感できます。
駅から大きな通りに向かって歩いたものの、タクシーが全く見つからず
途中、趣のある川の横を通ったのでカメラを取り出し撮影。

ここは、木陰が気持ちよく河原もよく整備され福岡市の川とは雲泥の差です。
思わず、自然によく整備された芦屋の川を思い出しました。

再度、駅に戻りタクシー会社に電話をかけ来てもらい斎場に向かいました。
タクシーの運転手さんに尋ねると、各務ヶ原市は人口が7~8万人ほどで
我々のようによく建築関係の人間が全国から見学に来ると言っていました。

そんな小さな地方都市が、どうしてこの斎場を伊東さんに頼むことになったのか
知りたくなりました。

斎場は人口の池に面し、奥にはお墓がたくさん並んでいました。

事前に電話で確認をおこない、午前中は納棺がないため
30分ほど中を見ることができました。

施工とディテールの詰めは素晴らしく、曲面のシェル部分には照明器具を
一切取り付けず、全て屋根と切り離された箱型のスペースの上部に間接照明として
設置されています。

木の積層材を何枚か積んで接着し、座る部分を円形状に削ったベンチ
積層材の色を変えてあるため、掘り込むと同心円状に色が変わるデザインになっています。

シェルは雨樋を兼ねた柱の配置により、構造的に無理なく建物を覆っていました。
斎場の設計の場合、バスで建物に寄り付くためにエントランス前に大きな高さのある
庇が必要ですが、この建物は屋根がシェル状にうねりながら張り出し
違和感なくデザイン的に一体となって処理されていました。
ボク自身も建物と分離した玄関庇は、あまり好きではありません。

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