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むかし、大学を出て、組織設計事務所に入社してまもなく
代表から言われたことがありました。
「大石くん!どんなに斬新なアイデアがあっても、設計というのは
それを表現できる技術がないとできないのだから、まず技術を学びなさい」と。

建築の技術には、ほんとうにいろいろなものがあります。
まず、構造が成立しなければ建築は成り立たず、
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の建物においては、構造上の納まりや
耐力上の計算を理解した構造家とのコラボレーションにより
コンセプトを生かす骨格を決める必要があります。
また、木造においては、在来工法における木組みについての
認識がなければならず、これまでの経験に基き、構造家に頼まずに
骨格を決めていくことが多いと思います。
特に、外観のプロポーションやコンセプトの表現の場合、
構造的骨格をベースに防水上の納まりや開口部の納まりが絡み、
目指すべき目標と解決すべき技術がなければ、結果として
かっこいい建物にはならないものです。

また、そのような部分に技術が必要との認識、または気付きがなければ
デザイン面での向上につながっていきません。
センスがあるかないかの差は、気付けるかどうかの差だと思います。
気付くためには、自分と他がどう違うのかをただひたすら見るしかないかもしれません。

大胆な発想はいつまでも失ってはいけませんが、同時にそれの表現のための技術
を認識し、試しながら常に改良していくことは必要だと思います。

試すことは、常にリスクが伴い怖いものですが、それを少しでも
乗り越えて行かなければ自分にとっての新しい技術のストックにはなりません。

むかしは、いきなり技術と言われてもまったくピンときませんでした。
自分は、計画やデザインをすればいいんだと考えていましたが、計画やデザインは
それを生かす技術によって表現され、別の人がやってくれるものではありません。

最近、発想はもちろんですが技術の必要性も特に感じている今日この頃です。

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