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春分の日で祭日の今日、西鉄グランドホテルで14時より行われた
福岡県美しいまちづくり賞 特別講演&受賞作品発表に行って来ました。

まちづくり賞の受賞作品を社会的に広く認知してもらい、
一般の方の意識を高めることは必要なことで5年前から特別講演とセットで行われています。

今回は、妹島和世氏に来て頂き、「建築と環境」というテーマで最初に講演がありました。
妹島さんの話しを直接聞くのは、福岡の若手の建築勉強会に呼んで以来であり
おそらく20年ぶりだと思います。
当時、妹島さんは有名ではありましたが再春館製薬女子寮で脚光を浴び
パチンコパーラーのコンペを取り、住宅を何軒か手掛けていた状況で
自分の悩みについて真摯に語られていたことを思い出します。

当時、まだボクは独立前で組織設計事務所に属しながらその勉強会に参加していました。
妹島さんはボクと同じ歳ですが、あれから20年の間に一気に世界的な建築家へと
駆け上がられました。
ここ5~6年の海外・国内プロジェクトについてとてもわかりやすく説明して頂きました。
 
講演での印象に残った言葉として

ローザンヌ・ラーニングセンター「床の起伏によって歩くことで自分の回りに場ができる」
                   「樹木を最後まで置けず、外部と内部がやはり切れている」

犬島プロジェクト         「古いものと新しいものがやわらかく混じり合う」

京都の町屋プロジェクト    「屋根の分解」

ルーブル・ランス         「景観との連続感のなかで建物を造る」
                   「アートと自分が混じる」

公共施設として外部からどのように内部へ引き込むかというテーマを
金沢21世紀美術館から求められ、
ラーニングセンターにおいて実現されているように思うのですが、
それでもさらに反省点として内と外との融合について考えられているようで
講演の場で反省点を述べられること自体、
妹島さんの誠実さはずっと変わっていないように思いました。

その後、休息を経てまちづくり賞の作品について審査委員長の工藤先生より紹介があり
住宅・一般建築分野のそれぞれ大賞作品について
設計者から20分間のプレゼンテーションが行なわれました。

住宅の大賞は当アトリエの元スタッフで西岡(笠置)梨夏さんの「Obi House」
一般建築の大賞は内田貴久氏の「筑紫保育園 分園」

二つの作品はどちらも構成的でありながら対称的であり、
「Obi House」はソフィスティケート、「筑紫保育園 分園」はストレートでした。
建築の本質はどうしてもストレートの方が明快でわかりやすく
ソフィスティケートは本質が見えにくい。

「Obi House」が学会主催の建築九州賞の最終審査で最後まで残りながら
柳瀬氏の「Koto House」に敗れたのは
その当たりの感覚だったのかなあと思いました。

ただ「Obi House」は、LIXILE主催のデザインコンテスト(昨年より32年続いた
INAXデザインコンテストとトステム設計コンテストが合体しました)において入賞しており、
他の入賞作品を見れば全国レベルとしての評価は非常に高いと思います。

http://newsrelease.lixil.co.jp/news/2014/070_company_0207_01.html

ふたりのプレゼンテーションを聞いていると突然、
頭の中に「建築の本質」という言葉が浮かびました。
この場合の本質は、あくまでその空間に身を置いて感じるものであって
コストや機能や背景ではない本質なのですが、
本質とは?という問いについて考えてみたくなりました。

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