2008.05.18
江戸前すし
先日の4人で飲んだ時に、江戸前すしの話題がでました。
最近のすしやは、どこも基本的に江戸前すしと言っていいかもしれませんが、
ネタに江戸前の工夫を凝らし、酢飯にのせることで魚のうまみが何倍にも引き出される
ような正統江戸前においては、地方のすしやで新鮮なネタのみで勝負しているところは、
所詮かなわないのではないだろうかということでした。
そういう意味においては、江戸前すしは、素材を活かしながらもフランス料理のような
高度な工夫がされているということかもしれません。
東京でそういうすしやで食事をすれば、お酒も飲んでおまかせで
3万円ぐらいは、かかるそうですから、なかなかとても食べる機会がありませんが、
井本くんの話しによれば、
東京の世田谷上野毛にある「あら輝」という超人気店で修行された方が
唐津で「佃」という店を開いておられ、かれも数回行ったとの事。
東京と比べ、高くはなくおまかせで1万円ほどだそうです。
これまですしやで感激したのは、小学生の時に父に連れて行かれた小倉の銀天町にある
「天寿し」で、今でいえば創作すしの分野かもしれませんが、とにかくすべてお醤油を
付けずに食べて、口の中で拡がるさまざな味の混在にびっくりしました。
まさしく、味覚の芸術だと言っていいかもしれません。
当時、カウンターには現在の超有名店である「もり田」の森田さんが弟子で握っておられ、
森田さんは、いつも休みを利用して全国のおいしいところを和食にかぎらず
食べ歩いているということをおっしゃられていたことを憶えています。
「天寿し」はその後、二人の息子さんが跡を継がれ握られています。
カウンターだけの小さなお店ですので、一度予約されてお昼などに行って見られると
安く食べれます。新幹線の小倉駅で降りて、歩いて10分ぐらいです。
ところで、建築をとてもこだわってつくる建築家で、おいしいすしやに興味がない人は
いないのではないでしょうか?
こだわって握るすしやのすしは、日本のレベルの高い文化であり
建築家の感受性とすし職人には、共有の価値観があるように思われます。