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2019.09.09

荒戸の家

 

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元スタッフの平野くんが設計した住宅を日曜日に拝見させて頂きました。

 

幅員3mほどの道を隔てた向かい側には、樹齢何百年かは経っているであろう神社の御神木があり、

その隆々とした樹形は周辺環境に対して圧倒的な存在感があります。

かれはその御神木に対し矩形の箱を敷地内で少し振って向き合うような配置にして最大限その風景を内部に取り込んでいます。

また、敷地境界に平行に配置したものと違い、

建物と境界の間にできた変形した余白スペースが逆に敷地に奥行きを与えているように感じました。

 

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外観の仕上げ材は四周すべてに厚さ15mm木の無垢材が使われており

向かい合う神社に対してとても馴染んだ環境を形成させています。

 

建物は矩形の2層の直方体と東西の両サイドにはみ出した下屋という単純な構成で

内部のプランも構成と構造が一体化した極めて単純化したものになっており、

外観の馴染みの良さからくる情感性とは裏腹にかなり知的操作が行われたコンセプチャルな建物になっています。

 

内部は白い壁が全くない木だけの素材で統一されており

壁材にラワン合板を使用し枠等もなくした納まりのためかかなりミニマムですっきりとした空間になっています。

 

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この建物の施工は久木原工務店で、現在、当アトリエが監理している八幡の住宅と同じ施工者であり現場代理人も同じです。

建物予算もほぼ同じ、着工及び竣工時期も同じであったため以前から興味があり見比べてみたいと思っていました。

 

(八幡の家)—-まだ竣工していません

 

この住宅の施主は30代、当アトリエの施主は60代、

当アトリエが担当している「八幡の家」は外観から内部の床、天井に至るまで全て真っ白を希望されており

この「荒戸の家」とは全く真逆となっています。

空間の好みから言えば、10年前までなら30代が「真っ白」の家を志向し60代が木を使用した落ち着いた家を志向していたものです。

 

(八幡の家)

 

それが最近、世代間の価値観が逆転してきており、むかしの30代は今になっても白を基調とした未来志向で

今の30代は逆に古い物や落ち着き、ナチュラルなものへの志向が強いように感じます。

天井に取り付けられた直付けの裸電球も一見、むかしのままのフイラメントがついた電球と思いきや、

アイリスオオヤマのLED照明で大変よくできています。

 

 

 

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