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建築を造る行為というのは、
造り続ける限り常に学ばなければいけませんが
建築の創造的行為を単に感性だけで乗り切ろうとすることは
進歩がないことにもつながりかねません。
建築の仕事を通して本は実践的な面において
経験不足を補ったり、イメージを喚起させたり様々に役に立つものですが
本質的な面においては
在り方について深く考えさせるものでもあります。
その建築における本というものについて
昨年GA JAPANから出版された「建築にまつわる本のはなし」は
非常に興味深い特集になっています。
この中で安藤さんがまだ駆け出しだった頃、神戸新聞の社長から
進められて読んだ本として和辻哲郎の「風土」を挙げられていましたが
ボクが大学に入学した当時、教授から勧められて読んだのがこの本でした。
環境設計学科というのは当時、珍しく、新しくできた学科の意気込みもあり、
この本を環境というものを認識するうえで勧められたのだと思います。
これには日本という湿潤な気候を踏まえての哲学的な考察が
述べられており当時18歳の頭脳としては非常に難しく感じたものです。
それにしてもこの本を新聞社の社長という立場の人が
学歴もなかった安藤さんに勧めるというのは
流石だと思いました。
このGAの本には、著名建築家へのアンケートで影響を受けた本として
近代建築の歴史書以外に磯崎新の「建築の解体」が多数挙げられています。
この本もボクがちょうど建築を志した学生だった20才のときに購入したものです。
また、当時、盛んにレヴィ―・ストロースやミッシェル・フーコー
などの構造主義哲学を建築思想に持ち込んで捉える言説が流行っており
今回、影響を受けた本の中に構造主義に関するものが少なかったのは
意外でした。
とにかく今後、もっと建築を深く掘り下げたいと
考えられている方々にとっては有り難い特集だと思います。
これに網羅されて本の中から、自分にとって興味があるものをリストアップし
時間を作って読破していくことも面白いかもしれません。
         
     
     

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