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今から8年前ほどに完成した住宅の施主から、
現在、高校1年生になるお嬢さんが
将来、建築を目指すことに興味を持たれているようで
進路について相談に乗ることになりました。

場所は、女性建築家として活躍している西岡さんが
竣工当時当アトリエの担当者だったこともあり
相談は彼女のオフィスで受けることになりました。

当初、昨年の12月ごろにお嬢さんから相談を受けたお父様から
アトリエに相談があり、とても大切でいいことだと思い
西岡さんにも声をかけ実現しました。

お嬢さんからは事前に確認したいことをまとめたメモを頂きました。
メモの冒頭には建築家という職業は、
もともと芸術的なセンスがある人なのかということが書かれてありました。

ボク自身について言えば、小学生の時にお絵かき教室に行っていましたし
絵を描くことは好きで、小学3年の学芸会では自分で作った紙人形を使い
テープレコーダーに入れた音楽を流しながら人形劇をやったりしていました。
(母はその当時、ボクは舞台監督に向いていると思っていたようで—-)
アトリエのふたりの女性スタッフにも聞いてみましたが
ふたりとも絵を描くことに興味があり、賞をもらったりしていたようでした。
また、西岡さんはボクと同じで小学生の時から建築家になりたい!と
思っていたタイプですが、
正直言って、今日、建築家として名声を得ている人の多くは
最初から建築家になりたい思っている人は少なく
みなそれぞれ自分の好きなもの
スポーツだったりギターなどの音楽に夢中だったりで
高校3年生になりはじめて建築のことを考えた人の方が多いと思います。
ただ最近の高校では2年生時から進路指導が行われているようで
奥手の子には悩ましいことかもしれませんが
早い段階で目標を決めておくことはいいことだと思います。

次にどういう大学を選べばいいのかということでしたが
まずはじめに地方大学なのか中央の大学なのかと言えば当然ながら
中央の大学に行った方が全国レベルの設計アトリエのオープンデスクに
行くことも可能となり有名な建築家の事務所に入れる可能性が拡がります。
それとどんな先生がいる大学なのかを十分知っておくことも大切です。
西岡さんなどは大学の学園祭に行き、キャンパスの雰囲気を掴んだり
福岡で言えば、九大と芸工大それぞれの先輩から話を聞いたということも
話されていました。

また、建築と言っても相当幅広く、
建築は工学部の中ではもっとも文系に近く、数学が苦手でも最低三角関数までが
理解できれば構造設計を除き十分やっていくことができます。
そして分野としては構造力学、構造設計、材料工学、設備工学、施工、建築計画、
建築史(日本建築史、西洋建築史)、都市計画、建築法規などがあり
別に最初から自分の適性がわかっていなくても
建築学科に入ってから広い分野をカバーする科目の中から
2年生までに選択すればよく、必ずしも誰もが設計を志す訳ではありません。
2年間の学生生活を通して適正について考えていけばいいと思います。
(最近は3年次に自分が所属するゼミを決めなければならず、2年生までに
自分の人生における進路について判断するため、
建築学科の学生はバイトなどに精を出す余裕などは全くありません。)
また、上記の科目以外に造るのは苦手でも文章や分析に長けていれば
建築雑誌の編集部を志しても構いませんし、建築学科を出て建築写真家に
なる人もいたり、今後はゲームの仮想空間の設計なども面白いし
大手不動産の土地開発企画や大手広告代理店での建築という専門性を
絡めた仕事など目の付け所いかんによっては
新たな職域を見出していくことも面白いかもしれません。
だから、自分が芸術的な才能があるのかなどで悩む必要は全くありません。

お嬢さんのメモは実に系統立てて作られており感心したのですが
大学でどういうことを学んだのか。
就職しての実務経験とはどういうものなのか。
資格試験とは。
そして最後に建築家の仕事とはどんな風にして進めているのか。
などが書かれており、それに従って西岡さんとふたりでお話をしました。

建築家が設計した家の御子女の3割は同じく建築を志すというデータがあるようで
責任重大ですが、日本の住まいを変えていく同志に是非なって欲しいと思います。

りさ子ちゃーーん!!がんばれー!!

     

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