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次に岐阜県を北上するかたちで
飛騨・高山、日本古民家の最高峰とされる吉島家の住宅へ

飛騨・高山に行くのも初めてです。
この山間の盆地にどうしてこのような京風の面影のある文化が
花開いたのは不思議に思いますが
造り酒屋から端を発しやがて養蚕業で財を成した豪商、いわゆる旦那衆により
この地に京都風の繊細さを持ちながら力強い架構を表現した住宅が作られました。

そのなかでも吉島家の住宅は国の重要文化財の指定を受けた
古民家の最高峰と言われるものです。

(飛騨・高山の街並み、道に面し軒が2段になり低く抑えられています
 1階部分と2段の軒で挟まれた2階部分はどの住宅も
 様々なたて格子が付いています)


(吉島家住宅正面の一部、意外と格子は太い)

住宅の入り口は高さが抑えられ建物ボリュームを感じることができませんが
中に入るとその印象は一変します。

屋根を支える巨大な梁が重なり、その上に1間間隔で建てられた
小屋束により力強い空間が現れます。
上方に取られたトップサイドライトから自然光が射し込み、宗教的とも言える
空間になっています。
(トップサイドライトは滑車によって障子を上下に動かし開け閉めできます)

この男性的な空間がある商い的なスペースから奥の居住部分は次第に
インテリジェンスに富んだ繊細で女性的な数寄屋造りの空間へと
変貌していきます。

 つづく-----—-。

        

現在、基本設計中の芦屋Y PROJECTでは、
南側に設置した奥行き2.15mのゾーンに親世帯、子世帯のサニタリー、
トイレ、階段等を帯状に集約させ、
背後のゾーンをもっと自由にプランニングできるようにしています。
その場合、背後のゾーンが南側に面さず暗くなるように思われるかもしれませんが
南側の集約ゾーンには一部、北側ゾーンの延長スペースがあるため
1階においては圧迫感がないように考慮しています。
2階では南側集約ゾーンの上部にロフトスペースを帯状に設置し
そこからのハイサイドライトにより北側ゾーンへ
光を入れるように考慮しています。
冬至と夏至の光の入り方を確認するために1/30の模型を作り検討しています。

2階リビングは北側にありますが、外部にデッキスペースを設置し
その周囲の壁を立ち上げることで南からの光の反射効果も狙っています。
通常、リビング・ダイニングスペースを南側に設置するというのが一般的な
考え方ですが、実は南側は日本の気候において夏場の熱量が多く
必ずしも南側がベストとは言えません。
この住宅においては北側リビングのメリットについて実証してみたいと
考えています。

    

8月初旬の竣工を目指して進んでいる遠賀 S PROJECT。
現在、室内の米杉天井張りがほぼ完了しました。
米杉材は濃いめと薄めの板材の色の差が激しく、
ある程度、濃いめと薄めを選り分けして張ってもらっています。
(それでも2~3枚濃いめのものが入っているのですが-----)

この住宅は外部デッキ側に庇が2mほど張り出しており、
通常ならば奥のリビングスペースが暗くなってしまいがちですが
断面形状を屋根形状に合わせ上がって行く天井部分(白塗り)と
軒の出と同じ米杉材が張られた水平方向に延びた天井の2重天井とし
フラットな天井をU字形に切り取り、南の光が横から入るようにしています。

夏至と冬至の太陽高度によって、夏場はリビングには直射光が入らず
冬場は直射光が奥まで射し込むようになっています。

ポーチは2台分のゆったりと取られた駐車スペースに沿って
アプローチするようになっており、切妻屋根の変形バージョンで
片方の屋根が巨大な片流れになっています。

   

各務ヶ原を後にして、
次は柳瀬さんが岐阜の設計事務所時代からのお付き合いで
盟友でもあり、新建築の吉岡賞を受賞された杉下氏設計の
「揖斐の工房と住居」へ向かいました。

陶芸家のお住まいと工房を兼ねた平屋建ての住居で中庭を中心にL字状の
住まいと工房が同じ面積で対峙したプランとなっています。

屋根の棟位置を建物のセンターとせず、中庭寄りにずらすことで
道路側からみた佇まいは、低く抑えられた屋根勾配のように見えながら
中庭から見ると屋根勾配が急なため、立ち上がった屋根面が
よく見えるような工夫がなされています。


(中庭に面する工房側壁面、右側に出入り口が見えます)

杉下氏によれば屋根色はほとんどアルマイト色のアルミ材を使用されている
とのことでよく使われるような黒とかはあり得ないと言われていました。
その当たりにも氏の深いこだわりがあるように感じました。


(右側建物の奥のにじり口が住居のエントランスとなっています)

この中庭、通常、住まいや工房が開くというのが普通の捉え方ですが
ここでは、住まいも工房も中庭に対し閉じており、
無のスペースとなっています。
これは、この住宅が通常の住まいとは異なり、
陶芸のための工房が併設されている結果、
中庭が訪問者に対し陶芸を中心とした行為及び作品の世界へ入る場として
外部からいったん切断する結界のように
捉えられているのだろうと思いました。
それはクライアントに対する建築家の敬意であって
けっして独善的なものではないと思います。
そのように解釈するならば、
住居の入り口をあえてにじり口のようなものにされていることも
理解できると思うのですが-----。


(玄関、右がにじり口)

靴を脱ぎ、にじり口から入るとそこはいきなりタタミになっており
寝室がある奥に行くには段を上がって行くようになっています。
また、手前は敷居がわざと高く取られ
またいで居間に入るようになっています。
氏によれば空間がそのままずるずると繋がっていくのが好きではなく
それぞれの空間を分節化して結界としたいと話されていました。


(食堂及び居間、右側が玄関からの入口、敷居が高く取られています)

松山君が杉下氏に興味を持って今回の見学ツアーに入れた理由として
杉下氏による開口部を極限まで絞り込む空間のなかの光の捉え方だということが
この住宅でもよく理解できました。
松山くーーん!来れなくてざんねんねえー!

室内は曇り空でありながら思ったより明るく、決して鬱陶しいものではなく
今後の開口部に対する認識の巾が広くなりました。

杉下氏の風貌は、ここのクライアントであり新進の著名な陶芸家以上に
陶芸家そのもののようでありながら、写真で見るよりずっと気さくな方でした。

柳瀬さんとの長いお付き合いということもあり
わざわざ設計者から解説をして頂けることなど、
通常、住まいながらの住宅では不可能であり、
見学させて頂き本当に良かったと思いました。

杉下さん、柳瀬さんありがとうございました。

つづく----------。

    

建築ツアー2日目。
長良川河畔のホテルをバスで出て、
伊東豊雄氏設計の各務原(かがみがはら)の葬祭場へ向かう。
6年前にスタッフだった平野くんとともに一度見に来たことがありました。

今回はつつじが咲き、池には蓮の花も咲いており大変良いシチュエーションでした。

この建物は伊東さんが設計された建物のなかでもかなりディテールが洗練された
美しく幻想的なものになっていると思います。
外周部の開口はすべてFIXとなっておりシェル状のコンクリート庇に
すっきり納められていますが、排煙の問題はどのように処理されているのか
我々の間で話題となりました。
ボクが考えるところシェル状の屋根と内部の箱との間に機械排煙機が上向きに
納められ箱の中のダクトを通し、
裏側へ排煙するようになっているのではないでしょうか-----–。

それにしても前にも感じたことですが
中に入るとなぜか息苦しく感じるのはボクだけなんでしょうか?
妻とも話したのですが、槙さんの風の丘葬祭場では全く臭わなかった
独特な臭いをここでは感じるのですが------。

つづく-----—。