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きょうは第5回建築勉強会にスタッフのマツオさんとともに出席。

今回のプレゼンターはH2architectの蓮子龍美氏。
蓮子さんは松山将勝さんと組織設計事務所の元同僚で
8年間の在籍後、10年前に独立されており、
16年間組織設計事務所に在籍後、独立したボクと似たような境遇のため
興味を持って聞かせてもらいました。

聴きながら感じたことは、建築家になろうとする人にとって
最初に入る設計事務所の影響は非常に大きいということ。
個性を打ち出しているアトリエ系と組織系設計事務所では大きな差があり
そこに最初に入ることにより将来的な方向性が決まってくる
と言っても過言ではありません。

どちらの場合でも各人がそのメリットとデメリットを背負いながら
独立後、自分というアイデンティティを獲得していく必要があります。

一方(アトリエ系)では設計の考え方、哲学、個性を持った師という存在があり
もう一方(組織系)ではクライアントに対する適切な解答を導き出すための
会社としての方向性があります。

ボクの場合、組織系が16年間と長かったこともあり
独立してアトリエ系として生きていこうと思った以上、
アトリエ系と違い、師と仰ぐ存在に出会わないまま仕事をしてきた
これまでの全ての垢を落として
まっさらな体になりたいと強く思うとともに
自分が気付かない昔ながらの考え方やプランニングのくせやデザインによって
作業が進められているのではないかという恐れに対して
優秀なスタッフの力を借りて変わらなければという強い欲求がありました。

蓮子さんの場合、そのような強迫観念は強く持っておられませんが
時系列に並べられた4つの作品を俯瞰すると
前半が組織系で後半がアトリエ系へと作品そのものが変化しているように思いました。

最初の2作品は建築が平面的な区分けだけのように感じさせる(組織系?)もので
区分けされたスペース間の関係性を読み解き、
空間が統合されたデザインとして意識されていない印象を持ち、
開口部の扱い方が一般的なはめ込みになっています。
それは3番目の作品まで続きますが
3番目からはプランニングの方法論における試行錯誤としての認識がなされ
設計アプローチに変化を感じます。
そして、最後の4番目でクライアントの要望である100%の家相を逆手に取った
統合されたデザインによって個性が獲得されているように感じました。

全体として常にクライアントの意向重視が蓮子さんの優しさでもあると思いますが
アトリエ系を目指すのであれば、建築の在り方を追求する場合
心を鬼にして優しさを封印しなければならないことがあります。
それは結果的に自分の個性を選んで頂いたクライアントの期待に応えることにもなります。

自分というものを大器晩成の流れで次第に出してこられる事を期待しています。

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