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2013.10.25

住宅の開口部

住宅の開口部には基本的にアルミサッシをつけることが普通ですが
アルミサッシの場合、どうしても特注に対する対応が限られる場合があり
いつも頭を悩ませるところです。
むかしは、木製サッシに始まりスチールサッシも含めほとんどオーダーで製作していたと
思いますがどちらも気密性、水密性に対し難しいところがあり
複雑な断面形状を型に流して製作できるアルミサッシにとって代わりました。

それでも木製サッシによるオープンな開口やナチュラル感、ほどほどの通気性
(OMソーラーのシステムにおいては高気密・高断熱ではないため多少の
通気性があった方がいいという方もおられます)などにより
施主側からの要望があるケースもあり、当アトリエにおいてもHOUSE Y,篠栗の家、
SLIDHING HOUSE,海辺の家、RIVERSIDE HOUSE、NAYA,HOUSE I など
アルミサッシでは対応できにくい部分において使用しています。
特に木のフレーム部分である框(かまち)を床、天井より上下に引っ込めることにより
部屋内から可動サッシが嵌め殺し(FIX窓)のように見せるやり方は
木製サッシしかできない納まりで、HOUSE I がそのような納まりになっています。

今回、香椎 O PROJECTや人吉 I PROJECTにおいては
縦長の開口部に対し、上部が傾斜屋根による台形の形状になっており
台形の形状に製作可能なサッシを選ばねばなりません。
下部は引き違いのテラスサッシとの組み合わせで
既製サッシにおいてはそれを一体としてつなぐものはないため
人吉では間に木の無目材を通し、ロールスクリーンボックスを中に仕込み
上部の台形状のFIX部は陽射しの強い人吉の夏場を考慮してタテ型ルーバーを下げ
サイドの袖壁のなかに引き込むことができるようにしています。

また、香椎 O PROJECTでは上部をビル用サッシ、下部をサーモスという違うタイプで
中間に角パイプを入れて組み合わせ、それぞれの見付の違いを
ディテールを工夫することでタテ一列の一体サッシとして見えるような納まりにしています。
なぜそんな難しい組み合わせになっているのかと言えば、通常の住宅用サッシの
特注サイズでは台形窓が対応できずビル用を選ばざるを得ないからです。
するとビル用は溶接で止めるためのスペースが必要であり
また、住宅用サッシのように雨が入らないようなつばのあるディテールになっていないため
枠の周囲にシールが切れた場合に備えて水返しのアングルを付けておく必要があります。
では何故、下部もビル用としないのかと言えば、
ビル用は住宅向けのように網戸の納まりなど細やかな配慮がないためです。

そんなこんなで毎回頭を悩ませているのですが、
住宅の開口部は奥が深く本当に難しいと思います。
壁に穴を空け、既製のアルミサッシを嵌め込むだけの方が簡単なのですが------。

  

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