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 「かわいい!」という言葉は、これまでとても俗っぽい印象を与えるものでした。
女性が使用する「かわいい」は、とてもキャパシティが大きい言葉で、
物事を判断する正確な言葉として捉えておらず、「オシャレー」を連発する
おばさんと同レベルの感覚的コミュニケーション用語ではないかと思っていました。

したがって、建築や空間を創造する行為において「かわいいから作っちゃいました!」
なんて言おうものなら、何の論理性もないため、バカにされるのが普通でした。

ところが、日本でのおたく文化の影響を受けたアーティストたち(村上 隆、奈良義智など)
の作品が海外でアートとして高く評価され、状況が変わりつつあります。
人間が誰でも本能的に感じる「かわいい」という感情をアートにする。
きわどいところで、これまでの先入観や決められた枠組の突破を図っています。

 建築も従来の価値観とは、違う捉え方がこれから必要になってきています。これまでの
きっちりとした構築的建築ではなく、やわらかい建築、弱い建築、やさしい建築など
新しい時代を予感させるキーワードが出てきていると思います。
いずれも建築が男性的なものから女性的なものに変わってきており、それは一時的流行では
なく今後、加速する方向で進んで行くと思います。
したがってこれからは、女性の感性が無視できない時代になります。

「かわいい住宅」依頼があれば、最初から切り捨てるのではなく、かわいいという感情の
論理性を分析して設計したら、案外面白いものができるかもしれません。

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